小規模な福祉・介護施設から新調理システムを導入した急性期病院、セントラルキッチンまで、大小さまざまな規模、調理提供方式の電化厨房採用事例をご紹介。
谷孝之・大木斉などの達人シェフが、真空調理やスチームコンベクションオーブンの基本的な工程や活用ポイントを、映像を交えて分かり易くご紹介。
クックチル・ニュークックチルの基本概念と導入メリットを整理し、正しい手順と成果を導くために不可欠なポイントを簡潔に分かり易くご紹介。
各分野の専門家へのインタビューやコラムを通じて電化厨房の特性や特徴、上手に導入・活用するための情報やノウハウを提言。
時代の要請に応える食事サービス理念やコンセプトの実現に貢献する最適な給食施設計画のノウハウをまとめた本書をダイジェスト紹介。
他熱源の機器では得られない高いパフォーマンスやメリットを享受できる電化厨房機器の特徴と使用上のコツを、実演映像でご紹介。
人手不足やコスト増に挑むCK活用の実益と課題を協会代表が解説。ニュークックチルのメリットと課題を整理し、持続可能な給食経営のヒントをご紹介。
衛生管理・アレルギー対策など、学校給食が直面する課題の解決に貢献する単独校から給食センター、大学の学生食堂まで多種多様な電化厨房モデル事例をご紹介。
これから給食施設の新設や既存施設の改修、運営システムの改善などを検討する上で不可欠な、学校給食衛生管理基準に適した施設計画・運営ノウハウを解説。
『学校給食施設計画の手引き』の追補版冊子として、換気空調対策、食物アレルギー対応、災害時の炊き出し提供体制のあり方などを特集。
理論派シェフとして著名な大木斉氏がスチームコンベクションオーブンの各モードの特徴や基本的な活用ノウハウを、映像を交えて伝授。
食物アレルギーのメカニズムから対処法、給食施設における対応策を専門医が分かり易く解説。
過去の教訓を活かし、災害時に給食施設や事業所などで備えておくべきもの等、食糧備蓄のあるべき姿を専門家が提言。
放射熱や排ガスが少なく厨房内をクリーンに保ちやすい電化厨房の特性を活かしたデザイン性・機能性に優れた事例をご紹介。
谷孝之・大木斉などの達人シェフが、真空調理やスチームコンベクションオーブンの基本的な工程や活用ポイントを、映像を交えて分かり易くご紹介。
他熱源の機器では得られない高いパフォーマンスやメリットを享受できる電化厨房機器の特徴と使用上のコツを、実演映像でご紹介。
クックチル・ニュークックチルの基本概念と導入メリットを整理し、正しい手順と成果を導くために不可欠なポイントを簡潔に分かり易くご紹介。
食物アレルギーのメカニズムから対処法、給食施設における対応策を専門医が分かり易く解説。
過去の教訓を活かし、災害時に給食施設や事業所などで備えておくべきもの等、食糧備蓄のあるべき姿を専門家が提言。
ファミレス等のチェーン店から高級店・ホテルレストラン、スーパー等の中食施設まで、電化厨房の特性を活かした幅広いジャンルの事例をご紹介。
谷孝之・大木斉などの達人シェフが、真空調理やスチームコンベクションオーブンの基本的な工程や活用ポイントを、映像を使って分かり易くご紹介。
他熱源の機器では得られない高いパフォーマンスやメリットを享受できる電化厨房機器の特徴と使用上のコツを、実現映像でご紹介。

協会代表が語るニュークックチル活用の現状と未来

高齢者施設や病院、障害者支援施設などで提供される医療・福祉給食。利用者の命と生活を支える最重要サービスがいま、「調理員の不足」「食材・光熱費の高騰」「災害対応」という複合的な危機に直面しています。 現場の持続可能性(サステナビリティ)が問われる中、その解決策として期待されるのが「セントラルキッチン(CK)」と、そこで活用される「新調理システム(クックチル・ニュークックチル・クックフリーズ等)」です。 今回は、愛知県で17年にわたり障害者就労支援と連携したCKを運営し、業界団体の代表も務める三田明外氏に、給食現場のリアルな実情と、未来への処方箋を伺いました。
── まず、現在の医療・福祉給食の現場が置かれている状況についてお聞かせください。
三田代表(以下、三田): 一言で言えば、非常に厳しい状況です。一番の課題はやはり「人手不足」です。これは給食業界に限った話ではありませんが、労働人口が減少していく中で、調理師や栄養士、特に現場を支える介護職や補助スタッフの確保が年々難しくなっています 。この傾向が改善される見込みはまずありません。
── 人材不足に加えて、コスト面での課題も深刻だと伺いました。
三田: その通りです。材料費の高騰に加え、水道光熱費、そして最低賃金の上昇など、あらゆるコストが上がっています。一方で、病院や介護施設の収入源である診療報酬や介護報酬は、処遇改善などで人の部分には手当てがついても、診療や介護の「本体」部分がコスト増を補えるほどプラスにはなっていません 。 つまり、「人はいない、経営コストは上がる、しかし価格転嫁は難しい」という二重、三重の苦しみが現場を襲っているのです。
── そうした中で、三田代表は「一般社団法人日本医療福祉セントラルキッチン協会」の立ち上げにも尽力されました。設立の経緯を教えてください。
三田: 協会設立のきっかけは、2011年の東日本大震災でした。当時、被災地ではライフラインが寸断され、現地での調理が困難な状況に陥りました。しかし、セントラルキッチン(CK)で製造され、冷蔵保管されていた「クックチル」の食事が、結果として3日分の備蓄食糧として機能し、1食も欠かすことなく提供できたのです 。
── 災害時にこそ、CKの真価が発揮されたわけですね。
三田: ええ。場所や設備が不安定な中でも、安全に食事を提供できる「災害への強さ」が実証されました。これを機に、CKの意義を広め、技術やノウハウを共有するために、宮城県や神奈川県の事業者と識者が中心となって2012年に協会を設立しました。現在、協会では「FCPネットクラブ」という緊急時相互支援の仕組みも作っています。ノロウイルスなどの食中毒発生時に、会員間で支援を要請し合うネットワークです。これに加え、地震や豪雨などの災害時にも被災地への支援要請を行う連絡体制の構築を目指しています。BCP(事業継続計画)の観点からも、一法人で抱え込まず、地域や業界で助け合う体制が必要だと考えています 。
── ここからは、システムの核心に迫ります。まず、施設を集約する「セントラルキッチン(CK)」という体制そのものには、どのような経営的メリットがあるのでしょうか。
三田: CK導入の最大のメリットは、一箇所で集中調理を行うことによる「スケールメリット」と、業務の「標準化」です。具体的には、大きく4つの効果が挙げられます。
── そのCKの運用において、多くの施設で採用されているのが「ニュークックチルシステム」です。この技術面のメリット・デメリットについて、どのようにお考えですか。
三田: ニュークックチルシステムは、加熱調理した料理を急速冷却(チルド化)し、提供直前に再加熱カートなどで再加熱して提供するシステムです。当グループでは、1カ所のみニュークックチルシステムを採用しています。
── 経営的な視点でのメリットはいかがでしょうか。
三田: 最大のメリットは、サテライト施設における人手を省力化できることです。CKで盛り付けられた料理がインサートカートに設置された状態で各サテライト施設(SK)に届くため、提供時間にあわせて再加熱カートで最終加熱して提供することができ、SKでの調理や盛り付けといった作業が基本必要ありません。そのためSKに調理スタッフを配置する必要がなくなり、限られた人的資源を集中投下できるため、深刻化する労働力不足に対する最も有効な物理的解決策となります。
── 逆に、導入にあたってのデメリットや課題はありますか?
三田: やはり「イニシャルコスト(初期投資)」の高さと保管スペースを確保しなければならないことです。急速冷却機や再加熱カートなどの専用機器に加え、それらを保管するスペースを備えた建屋が必要になります。昨今の建築費高騰により、導入を検討していても断念せざるを得ないケースが増えています。また、メニュー開発にも工夫が必要です。再加熱に適さない料理もあるため、喫食感を損なわないためのノウハウが求められます。最近は熱風式だけでなく、蒸気加熱式やマイクロ波加熱式、電気加熱式などさまざまな機種が登場しているので、導入する際には比較して検討してみることをお勧めします。
── 三田代表が運営する「セントラルキッチンかすがい」は、障害者就労支援事業所としても17年の実績があります。
三田: 現在、約60名の障害を持つ方が働いています 。開設当初は、効率を追求するCKシステムと、障害者就労をどう両立させるか、本当に試行錯誤の連続でした。しかし、計量や盛り付けといったCK特有の反復作業は、障害特性によっては非常に高い能力を発揮できる分野でもあります 。彼ら彼女らの「涙ぐましい努力」のおかげで、今は少しずつですが収益を出せる体制になりました 。
── 最低賃金の上昇は経営に影響していますか?
三田: ものすごい影響です。開設当時は732円だった最低賃金が、今は1,140円(愛知県・取材時)を超えています 。 しかし、私たちは給付金目当てで就労実態のないような「福祉」事業はしたくない。「まともに働き、まともに稼ぐ」場を守りたいのです 。そのためには、給食事業自体できちんと利益を出し、彼らに給料を払い続ける必要があります。それが私たちのプライドでもあります。
── 後に、これからの医療・福祉給食の未来をどう描いていますか?
三田: 正直に言って、これからは「新しくCKを建てて儲ける」という単純なモデルは通用しなくなるでしょう。建築コストが高すぎて、投資回収が極めて困難だからです。今後は、既存の厨房設備をリノベーションして再利用したり、近隣の法人同士が連携して共同でCKを活用したりと、「持てる資産をシェアする」発想が不可欠になります。
医療・福祉給食は、決して止めることができないインフラです。だからこそ、一法人の利益だけでなく、地域全体で食を支える「社会的な役割」をCKが担っていく。そうした地域との連動の中にこそ、持続可能な未来があるのではないかと信じています 。