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学校給食セミナー



宮野鼻  ということで今度は田中さんの方へマイクを回したいと思うのですけど、田中さんが施設計画の責任者として所沢市の三ヶ島小学校という、つい最近ですけど、関東地方の単独校で初のオール電化施設を立ち上げられました。そこで、その経緯を含めましてお話いただきたいと思います。
田中  今ご紹介にありました三ヶ島小学校はこの9月から稼動しているのですけど、私の勤務しております所沢市では、O157の食中毒をきっかけに行われました施設の改善勧告でいくつかの古い調理場が施設を直すようにということになりまして、年に1校から2校の割合でこのところ調理場の建設を行っています。今まで三ヶ島小学校を含めますと、ドライの調理場は5校目になりまして、これまで4校作ってはいるのですが、学校給食の衛生管理の基準に沿いながらドライシステムを採用し、施設に冷房などの設備は入れたのですが、やはり発熱量の高いガス回転釜ですとか、フライヤー、そういうものがありますと、温度を下げることができないということがわかりました。施設を見ますと、きちんと下処理室はあるのだけれど、洗浄室と調理場は色分けだけで一体化していて、先程阿部先生がおっしゃった汚染区域と非汚染区域の区切りについては完璧な施設ではなかったこともありまして、今度作る三ヶ島小学校に関しましてはなんとかもう少し良い状態で作業ができる施設にしたいという意向が上司のほうからも出て参りました。その中に電化厨房という話も出たのですが、三ヶ島小学校の設計が始まったのは平成13年で、その時には私は3月まで保育園におりました。そのあと学校給食の方に参りまして、この「オール電化厨房」という名前をお恥ずかしいのですが初めて耳にしたのです。当時はどういうものか分からずに、栄養士の中にも、「電気で大量調理なんて絶対にできない」という意見も出たりする状況でした。ただ、見てみなくてはわからない、やっぱり研究してみなければわからないということで東京電力さんの協力も得まして、展示会等で調理機器を見させていただいたり、今思えば水沢に行けば良かったかなと思うのですが、長野県の駒ヶ根調理場や、行田市にあります「ものつくり大学」学生食堂も視察させていただきました。「ものつくり大学」には教育長さんも一緒に見学させていただいたりしました。その中で私が一番興味を抱きましたのは、駒ヶ根の調理場を見させていただいたときです。ヒトの流れとモノの流れがきちんと出来ている調理場ということで、私達が今まで作り上げてきたドライシステムの調理場と全然違う考え方をしている。これがやっぱりHACCPの概念に基づいた調理場なのだなということに、まず一番興味が湧きました。それで、ぜひ私どもの方も電化厨房でこのような施設を作っていきたいということで決済をあげましたところ、上司のほうからもオーケーが出まして、電化厨房の設計が始まりました。その時には設計会社も決まっておりましたが、施設の設計施工管理を担当する営繕課のほうも今までとぜんぜん違うものを作っていくということでしたし、私のほうもまだ来たばかりで、本当にどのように説明したらよいか分からない状態で、大変にお互いが苦労し、行き違いなどもありまして、納得していただくまでに時間がかかりました。しかし最終的には、設計会社も市の営繕課の設計担当の方にもご理解いただいて、なんとか三ヶ島小学校の設計をまとめることができたのです。あと問題となったのは、「どういう調理機器を入れていったらいいのだろう」ということでした。それで、駒ヶ根市では、回転釜は入ってなかったのですけど、回転釜を導入されている山陽町さんのアドバイスを参考にして、調理速度や能力などの点から、回転釜を入れていこうということになりました。また工程上蒸し物と焼き物は一緒になるため、スチームコンベクションを2機導入しました。その結果、回転釜2機にティルティングパンが1機、スープケトルが1機、それからスチームコンベクションが2機という、550名くらいの単独校にしてはかなり充分な設備を揃えていただきました。その中で一番最後まで心配したのは、先程言った回転釜でした。三ヶ島小学校の場合調理業務を委託で行うということでしたので、電化厨房の経験のある会社の調理員の方を配置して欲しいということで委託先を選定していただいたため、スチームコンベクションですとか、ティルティングパンですとか、その辺りの機器については経験者が多く心配なかったのですが、IH回転釜だけはまだどこにも経験者がいなかったものですから、私自身一番最後まで心配しておりました。私も調理機器のメーカーさんのところに実習に行きまして、その釜のクセを教えていただきながら8月に試作を行い、9月から提供が始まったのですが、なんとか今は上手く使っていただいているようです。先程スチームコンベクションの話がありましたが、サラダなどはホテルパンに入れてそのままブラストチラーに入れるという本当に楽な作業で調理することができます。今日このように発表させていただく機会ができましたため、昨日三ヶ島小学校へ行って調理師さんにお話を聞きましたが、「こんな良い施設で働かせていただいているということはすごく幸せなことです」という言葉をいただいて帰ってきました。温度のほうも9月に入りましてすごく暑い日が何日かありましたけれども、外は30℃、32℃と気温が高い時に、25℃の温度設定で少し1〜2℃ほど25℃より上がったことはあったけれども、湿度のほうは70〜80%、それ以下になったときもあったというお話をいただきました。本当にはじめての施設でいったいどうなるか、やはり通常の施設と比較してイニシャルコストの高い施設なので、私どもも上司もかなり心配していたのですが、今何とかホッとしているところです。
宮野鼻  ありがとうございます。伺っておりますとスチームコンベクションオーブンをうまく使いこなしておられるようです。2台使用されているようですが、やはり2台という利点は大きいですか。
田中  大きいです。1台は焼き物、蒸し物などに使用して、もう1台はサラダ用ということで、ほとんどサラダのようなものはそこで一度加熱して冷ますという形をとりますので、やはり2台設置したということは献立が多彩になるという面からもすごく良かったと思っております。
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