コラム
ニュークックチル方式の効果的な導入・活用を目指して
東條桂子氏

厨房設計と機器構成のポイント

 第1回のレポートでも少し触れたように、ニュークックチル方式は安全で効率的な大量調理の実践を、より確かなものとする優れた特徴を数多く有している。
 しかしながら、それらの特徴を確実に具現化し、高品質な食事サービスを安定的に提供し続けるためには、ニュークックチル方式における作業工程ごとの具体的な業務内容と必要な人員数・時間、更には食材等の保管容量、作業スペースを始めとする運営条件の分析・把握にもとづく、適切な厨房設計ならびに機器の選択・構成配置が不可欠な要件となる。
 そこで、第2回目の今回は、私ども社会医療法人生長会ベルキッチンにおける施設・設備計画の概要をご紹介して、皆さまの参考に供することとしたい。

ニュークックチル方式の主な特徴と厨房計画における留意点

 ニュークックチル方式の場合、クックチル方式のもつ特徴・メリットをベースに、チルド状態での盛り付けによる再加熱カートでの仕上げ・配膳を実施するため、より高度な衛生管理と適時適温提供を可能にする複合的メリットを得ることが可能になる。

◎クックチル方式の特徴

  • ①調理作業を平準化でき、効率的な作業工程や人員配置が可能(早朝出勤や残業の負担を軽減)
  • ②適温提供や調理後2時間以内喫食の実践が可能
  • ③厳格な食材芯温管理により、衛生管理の向上に寄与
  • ④調理作業の分散化・平準化により、厨房機器容量を圧縮できる

◎ニュークックチル方式の特徴

  • ①盛り付け作業をチルド状態で行うため、時間・労力の軽減と平準化が図れる
  • ②喫食時間直前にカート内で再加熱するため、適温提供や調理後2時間以内喫食のより確実な実践が可能
  • ③二次汚染の危険が少なく、より高度な衛生管理の実践が可能
 一方で、クックチル・ニュークックチルでは、施設ごとの業務運用条件にもとづく調理・盛り付け・配膳作業の物理的・時間的分離を前提とすることから、クックサーブ方式とは比較にならない程の綿密な工程計画と、各工程の安全でスムーズな連係を支える適切な厨房機器の選択・配置が不可欠となる。
 中でも、とりわけ重要なポイントとして
  • ①T(温度)・T(時間)管理の基軸となるスチームコンベクションオーブンとブラストチラーの機器容量バランスの検討・確保
  • ②計画調理サイクルに適合する食材・料理の保存・保管スペースの検討・確保
  • ③再加熱カート等の保管・待機スペースの検討・確保
  • ④温度管理システム・栄養給食管理ソフト等の導入・活用
 などが挙げられる。
 ちなみにベルキッチンでは、急速冷却には加熱の約1.5~2倍の時間を要することを考慮して、スチームコンベクションオーブンの2倍のブラストチラー段数を確保するなど、上記のポイントを踏まえた厨房設計ならびに機器選択・配置が実践されている。

ベルキッチンにおける施設設備計画の要点

 私どもベルキッチンが、厨房計画に際して最も重要かつ優先的課題として取り組んだテーマが、HACCPにもとづく高度な衛生管理の実践・確保で、以下の8項目に対する徹底した対応を前提に、建築を進めた。

◎衛生管理の高度化

  • ①導線考慮(交差汚染・2次汚染防止)
  • ②清潔・準清潔・不潔ゾーンの分離
  • ③盛付室クリーン度 クラス100,000確保
  • ④ソックスダクト
  • ⑤陽圧空調システム(気流のコントロール)
  • ⑥温度管理システム(細菌の繁殖を抑制する低温化)
  • ⑦エアー発泡床洗浄装置
  • ⑧ほこり溜りや汚れ溜りの防止及び清掃のし易いディティール
 まず、交差汚染防止の観点から、「清潔」・「準清潔」・「汚染」の3区域に明確に分離し、施設内の空気が「清潔区域」から「汚染区域」、更には工場外へと流れるように陽圧制御システムを採用。その結果、高度清潔作業区域である盛付室やコールド調理室は、室内のクリーン度が10万(1立方フィートの体積に存在する直径0.1~0.5ミクロンレベル以上の塵の数が10万個以下)に保たれている。

■[図1]気流とゾーニング

図
 また、以下に示すように、入荷から出荷まで交差のない一方通行での作業となるよう、導線とゾーニングに工夫を施した。

■[図2]導線の考慮とゾーニングについて

図
 食材についてはまず、安全な食材を確保するため、原材料の仕入れ業者を詳細な調査にもとづいて慎重に選定。その上で、規格や温度などの管理基準が遵守されているかどうか、検品室で受け入れ検査を行い、魚・肉・野菜ごとに冷蔵・冷凍、下処理、調理へと一方通行で流れていくように計画されている。

■[図3]食材の動線

図
 次回は、ニュークックチル方式の業務運営の概要と導入に当たって留意すべきポイントについて考察を行う。
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