コラム
ニュークックチル方式の効果的な導入・活用を目指して
東條桂子氏

厨房設計と機器構成のポイント

 わが国では今、世界にも例を見ない超高齢社会の到来に備えて、地域包括ケアを中核とする新たな社会システムづくりが進められている。 その要となるテーマが、「施設」から「在宅」へのシフトの推進であり、厚生労働省は「施設中心の医療・介護から、可能な限り住み慣れた生活の場において、必要な医療・介護サービスが受けられ、安心して自分らしい生活を実現できる社会を目指す」ものとし、各市町村に対して中学校区を基本単位とする病院や介護福祉施設と在宅看護・介護サービス機能の緊密な連携サポートシステムの構築を働きかけている。
 こうした施策の背景には下記の図でも明らかな、在宅での医療・介護を希求する高齢者層の強いニーズが存在する。

■[図1]医療機関退院後の行き先について

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高齢者の健康支援を推進する配食事業への取り組み

 このように、世界の先駆けとなる「健康長寿社会」の実現を目指す画期的な取り組みが進められているわが国だが、残念なことに命の源である食事の提供を、在宅高齢者のために誰が、どのような形で担うかについての明確な対策は、未だに確立されていないのが実情である。
 そうした現実を反映して、ここ数年、低栄養傾向の高齢者数の増加が顕著になりつつあり、深刻な社会問題として指摘されている。

■[図2]低栄養傾向の高齢者数について

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 そこで厚生労働省では、「地域高齢者等の健康支援を推進する配食事業の栄養管理のあり方検討会」を立ち上げ、先頃その検討結果をまとめた報告書と、配食事業者に向けたガイドラインを作成し公開した。
 また、大手コンビニエンスストア事業者や外食企業の一部でも、在宅高齢者をターゲットとする商品開発や実験店舗の投入など、市場拡大を睨んだ積極的な取り組みが行われ始めている。

■[図3]配食事業の動向について

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 私どもは、上記の資料の右下の図が示すように、在宅高齢者のための食事を3つのカテゴリーに区分したうえで、それぞれに対応する専門知識や技能、製造供給キャパシティ等を明確にし、役割分担と連携のシステムを築き上げていくことが必要と考えている。

治療食や形態食を必要とする在宅高齢者への貢献が使命

 そして、私どもはセントラルキッチン事業者の使命として、最も重要かつ困難なステージである病院・介護施設を退院・退所した方々のための適切な食事、すなわち在院・在所中に受けた栄養指導ならびに提供された食事の栄養成分・物性等の継続性の確保を担わなければならないと自覚している。
 具体的には、現在ニュークックチル方式によって、おいしく安全に適温で提供している病院・介護施設の治療食や形態食を、どうすればご自宅でも同等の品質で召し上がっていただけるのか、クックチル・クックフリーズ・レトルト等の手法をあらゆる角度から更に改善・ブラッシュアップしながら、解決方法を求め続けていかなければならない。その過程には、一段と厳しさを増す人手不足やコスト環境が待ち受けているであろうことは、言うまでもない。
 私どもは、こうした難題を1日も早く克服して、高齢者の方々に生きる喜びと希望を感じていただける安全・安心でおいしい食事の提供を実現するためには、配食事業に関わる企業や法人が積極的に情報開示を行い、ノウハウを共有しながら共に切磋琢磨を重ねていくことが不可欠と考えている。
 読者の皆さまにおかれても、新たなお知恵やアドバイスを是非私どもにお寄せ下さるようお願いして、レポートの締めくくりとさせていただきたい。
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