「病院給食施設の設計マニュアル」ダイジェスト
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第2回
坂本 龍雄氏(認定特定非営利活動法人アレルギー支援ネットワーク理事長)
給食施設におけるアレルギー対策

近年、食物アレルギー患者が急増し、学校給食をはじめとする大量調理の現場においても食物アレルギー対策が急務になっています。
そこで、食物アレルギーのメカニズムから対処法、給食施設における対応策まで、アレルギーの専門医で、食物アレルギーを体系的に学べる全国で唯一の市民講座「アレルギー大学」の開催など、精力的な活動を行っている認定NPO法人アレルギー支援ネットワークの理事長である坂本龍雄氏に伺いました。

川口氏写真
[目次]

プロフィール

坂本氏顔写真

名古屋大学の小児科学教室におよそ16年間勤務し、アレルギーの診療・研究・学生教育に携わった。その後、独立行政法人労働安全衛生総合研究所、山口大学環境保健医学教室を経て、2013年から、中京大学スポーツ科学部スポーツ健康学科の教授として健康学や疫学の教育にあたっている。その傍ら、名古屋市内で週に1回、アレルギー専門外来を担当している。また、2013年5月にアレルギー支援ネットワークに副理事長として迎えられ、昨年5月、理事長に就任した。現在、「アレルギー大学」の講師、アレルギー患者や患者会の支援など、精力的な活動を行っている。

(1)アレルギー支援ネットワークとは

Q:特定NPO法人アレルギー支援ネットワークについて教えていただけますか?
坂本:小児喘息の発症や悪化を防ぐためには、室内環境中のダニアレルゲンを除去することが必要です。私たちは1988年、「アレルギー問題懇談会」を立ち上げ、主に愛知県内で、このような家庭の環境整備に対する行政支援を訴えてきました。その結果、名古屋市生活衛生センターに高周波畳乾燥機を設置させるなど、自治体や関係機関と協力・協同しつつ、多くの成果をあげることができました。今世紀に入ると、食物アレルギーが急増し始め、食物アレルギーへの社会的対応、給食対応やアレルギー表示などですが、きわめて切実な課題になってきました。そこで、食物アレルギーに関わる医師や研究者、管理栄養士、患者家族らの協力を取り付け、2006年、管理栄養士、調理員、保育士、養護教諭などの専門職を対象に、食物アレルギーの基礎知識と、食物アレルギー対応の給食にも適切に対処できる高度な調理技術を習得するための「アレルギー大学」をスタートさせました。おかげで、今年で11回目を迎えることができ、毎年数百名以上の受講者を送り出しています。また、会場も8県に拡大され、インターネット版も提供しています。
2006年6月、「会」は現在の「アレルギー支援ネットワーク」に改組され、9月に登記を完了し、同年10月1日から特定NPO法人として本格的な活動を始めています。私たちは「アレルギー大学」だけでなく、アレルギー患者や患者会の支援、東日本大震災の救援活動にも積極的に取り組んできました。その貢献が認められ、2014年に第66回保健文化賞を受賞することができました。
(2)食物アレルギー患者数の推移と原因食物
Q:食物アレルギー患者は年々増加していると聞きますが、どのようなタイプのアレルギーが増えているのでしょうか?またその主な要因を教えてください。

■図1:原因食品の内訳

原因食品の内訳
(対象は食物摂取後60分以内に症状が出現し、かつ衣料期間を受信した患者)
出典:「食物アレルギー診療ガイドライン」(日本小児アレルギー学会食物アレルギー委員会

■図2:保育所における食物アレルギーに関する全国調査

原因食品の内訳
出典:(日本保育園保健協議会 平成21年)より引用
坂本:食物アレルギーは、食後2時間以内に症状が出現し、時にアナフィラキシーやショック死を引き起こす即時型食物アレルギーと、それ以外の非即時型食物アレルギーの2つに分類されます。ほとんどが即時型食物アレルギーで、代表的な症状は蕁麻疹、口腔内の刺激感、咳、喘鳴、嘔吐、腹痛などです。原因食物の内訳では、鶏卵が圧倒的に多く、牛乳、小麦が続きます(図1)。

鶏卵、牛乳、小麦のアレルギーのほとんどは乳児期に発症し、多くは成長とともに改善・治癒していきます。しかし、それに代わってナッツ、甲殻類、フルーツ、ソバなどのアレルギーが増え始めますが、これらの食物アレルギーはなかなか改善しません。したがって、食物アレルギーの原因食物の内訳は加齢とともに変化します(図3)。

食物アレルギーの有症率の詳細は分かっていませんが、最近の全国調査の結果からすると、私は乳幼児で5~10%(図2)、学童期〜思春期でも5%は下らないと推定しています。高校生〜青年期もおそらく同程度だろうと考えています。食べたことがなければ食物アレルギーに気づかないし、食物アレルギーの診断を受けずに、何となく馴染まないからと特定の食物を避けていると、こうしたケースは食物アレルギーの統計に入ってきません。したがって、実際にはもっと高い可能性があります。 (図3)

■図3:年齢別原因食品

各年齢群において5%を占めるものを記載している。
出典:「食物アレルギー診療ガイドライン2012」(日本小児アレルギー学会食物アレルギー委員会)より引用

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