コラム
ニュークックチル方式の効果的な導入・活用を目指して
東條桂子氏

東日本大震災で被災した医療・介護系給食施設の実態①

 社会医療法人生長会は、2004年2月、医療法人として唯一の院外調理センター「ベルキッチン」を大阪府堺市に開設した。安全で美味しい食事を効率よく提供するために、クックサーブ方式から、セントラルキッチンでのニュークックチル方式へ変更し、HACCP(Hazard Analysis and Critical Control point)システムによる衛生管理を実施している。現在、同一グループ系列の社会福祉法人である悠人会をはじめとする法人内外の病院・福祉施設に1日約8,500食の食事を生産・配送している。
 2016年に増改築を行ない、最大で1日15,000食の生産が可能になった。
施設内訳は、急性期病院6か所・療養型病院1か所・介護老人保健施設(以下老健)3か所・特別養護老人ホーム(以下特養)3か所・デイサービス2か所である。また受託業務を行なっている。

ベルキッチンの概要と外観

  • ・住所: 堺市西区菱木1丁目2343-9
  • ・敷地面積: 5,910.39㎡
  • ・構造: 鉄骨造2階建
  • ・用途: 食品工場
  • ・延床面積: 3603.31㎡
  • ・生産量: 現状8,500食、最大15,000食/日
  • ・調理盛付一貫型の完全セントラル化
  • ・ISO9001登録書(登録番号JQA-QMA11839)
  • ・HACCP適合証明書(証明書番号JQA-HA0046)
  • ・堺市食品衛生優良施設 平成18年より10年連続
  • ・大阪府知事表彰受賞 平成21年11月5日
  • ・日本食品衛生協会 食品衛生優良施設表彰 平成22年10月22日
  • ・食品衛生優良施設  厚生労働大臣表彰 平成26年10月24日

社会医療法人生長会と社会福祉法人悠人会の構成施設

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 院外調理センター「ベルキッチン」は、当時のクックサーブ方式による食事提供の安全性に疑問を持ったこと、同時に法人グループの拡大に伴い厨房数が増えてきたこと、また一部施設での厨房老朽化が課題となっていたことなど、さまざまな問題の解決を目的として開設された施設である。
 すなわち、各施設の厨房を一つにまとめ、セントラルキッチン化することで、安全と共に調理業務の集約化と効率性の追求、食材の一括購入によるコストダウンへの取り組みなどが主要目的であった。さらには、病院・施設の管理栄養士の給食管理に携わる時間短縮による業務改善効果や、病院・福祉施設の厨房面積を従来よりも大幅に削減できることなども、導入メリットとなった。

「ベルキッチン」における院外調理システムの概要と特徴

 ベルキッチンでは、食事の調理・盛り付け・トレーメイクをセントラルキッチンで行い、盛り付けした食事を保冷車で各施設へ搬送する方式を採用している。
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 その際、安全で効率的に大量調理を行なうために、セントラルキッチンで調理した食事の盛り付け・搬送をチルド状態で行い、各施設の提供直前に再加熱カートで仕上げるニュークックチル方式を導入した。

各調理方式の基本工程図

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 ニュークックチル方式では、加熱調理後、急速冷却してから5日間のチルド保管が可能なため、安全かつ計画的に調理を行なうことができるのが、セントラルキッチンの運用上、大きなメリットとなる。
 また、一部には「セントラルキッチンだから個別対応ができない」と決めつけてしまう声も聞かれるが、私たちは、できる方法を検討し可能な限りの対応を行なっており、ニュークックチル方式での大量調理においても、工夫次第で個別対応は可能である。当センターでは、患者や利用者のニーズに応えようと法人内の管理栄養士が献立会議を実施して各施設からの意見や要望をもちより、食事内容の改善に向けて日々取り組んでいる。
 幸い、当法人が社会医療法人の運営する院外調理センターであることから、他職種との連携による献立改善や食事提供サービスの向上にも繋げることができている。例えば、少量の治療食やアレルギー対応等の特別指示献立、化学療法をされている方を対象としたセレクト食の導入や食欲不振の方へのうどん、そうめん、寿司、たこ焼きの提供など、ニュークックチル方式による計画調理のメリットを活用することで、理想とする病院食の実現を目指す取り組みを、地道に一歩ずつ実践している。
 次回は、ニュークックチル方式の特徴を具現するための厨房設計と機器構成のポイントを考察する。

セレクト食

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